その名は『無限門』


先日、島外の方に直島を案内していたときのことです。

島の南側、美術館エリアの砂浜を散策しているとき、風景に違和感を覚えました。

 

 

なにか、おかしい。

 

 

なにか、ある。

むこう側に垂直に立っている棒状の建築物は、以前からあった李禹煥美術館のオブジェです。
しかしその手前に、なにか見慣れない、そしてこの距離からも確実に巨大とわかるものが、厳然と存在しています。

 

近づくと、このような光景が出現しました。

 

 

 

豊かな植物の緑のただなかに、それとはまったく対照的な、硬質で人工的な金属のアーチ。

その明瞭なコントラストから、風景全体がSF的に感じられます。

 

あとから知ったのですが、実はこれ、李禹煥美術館に今年できた新作。その名は『無限門』。
通常は李禹煥美術館の側から、海を背景にした『無限門』を目にする形になるのですが、
たまたま砂浜のほうからこの作品に出会ったことで、予想外の風景に直面したのでした。

李禹煥美術館の作品は、現代美術の門外漢にはわりと難解な印象を与えるものが多いのですが、
『無限門』のインパクトは誰にでも伝わりそうですね。

わたしは李禹煥美術館に入るたび、完璧に手入れされて、完成当時の姿を忠実に保持している古代遺跡に足を踏み入れるような感慨を覚えます。

 

一度直島に訪れたことのある方、作品の難解さから李禹煥美術館を敬遠されていた方も、新たにアップデートされたこの美術館を訪れてみてはいかがでしょうか。

※上の写真は砂浜側から李禹煥美術館を撮ったものですが、この先は立ち入り禁止エリアになっています。李禹煥美術館に行く際は、通常どおり道路側からお入りください。